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オーケストラの思い出 パリアッチ

自分にとって、オーケストラとのお付き合いは最もふるーいそして新鮮な思い出なのである。
音楽の世界に入り始めた頃、それは今から半世紀も前、昔むかしの物語なのです。
小沢征爾の師にあたる斉藤秀雄師から初めてのオペラの勉強をしたのであるから。
私がリード歌曲のレッスンを始めていた当時、私に「,オペラとオーケストラを知っていた方がいい」と紹介されたのが”ヴーカル・フォア合唱団”である。
始まった当時はその名のように4名でスタートしたそうだ。ボーカルフォアに紹介された私は初舞台に立った。
紹介者は三浦環氏のお弟子の小林千代子氏である。 かの”マダムバタフライ”そのひと。

女学校を出たばかりの私は、単に歌が好きだというだけで御茶ノ水にあった分教場
に入学し、立松房子氏について発声と歌曲の勉強を始めた。
シューベルト、モーツァルト、メンデルスゾーンなどのリード歌曲である分教場とは自分の好きな科目を勉強するいわゆる個人レッスンのことである。

暫くはおとなしく勉強していたが刺激が欲しくなったので、当時松竹歌劇でプリマドンナで活躍
していた小林千代子さんが独立すると聞いて信濃町の家に母と共に押しかけた。これがご縁になり戦後まで師弟として続いていったのである。オペラとオーケストラの思い出も小林千代子氏と共に歩んでいるのであるから。

話を本題に戻す。
オペラの稽古場は銀座1丁目にありオペラの練習曲は「カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria Rusticana)」
道化師を扱った悲劇で、作曲はピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni)。
毎週土曜の午後練習があった。全員で17~18名ほど、それぞれがパート別の練習。
ピアニストがパート別に弾く。
立ち稽古に入ると主役が入るので歌も演技も近くで見ることが出来て楽しい時間を過ごせた。

本番は1ヶ月後にやってきた。初めてのオペラの舞台。衣装をつけて、メークをして。オーケストラがいて指揮者がいる。プリマドンナが歌う。
指揮者としては雲の上の斉藤秀雄先生。
幕があくと村の子供達と村人たちの幕開きのコーラス。コーラスオーケストラで歌った。
子供に扮した3人と村びとたちが叫ぶ。勿論3人の子供のなかの一人はかくゆう私です。子供に扮した私は叫ぶ「パリアッチだー」

レオンカヴァッロ(Ruggiero Leoncavallo)作品のパリアッチ(Pagliacci)は私のオペラ第1作目でありました。
そしてそれは3日間でおわった。幕開きのコーラスだけで終わったけれど私には忘れられない思い出だ。大勢の仲間ができた。しかも次回「カルメン」と聞く。

Mascagni: Cavalleria Rusticana; Leoncavallo: Pagliacci
by g_vocal | 2007-07-21 19:50 | おもひで
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