日本の5人のシャンソン歌手が結成したシャンソングループにサンクオム(Cinq Hommes)があった。
そのサンクオムが誕生した時、「こういうこともできるのだな」と感心すると共に、それが素晴らしいことの誕生でもあった1950年代は日本のシャンソンの最も華やかな時期、まさに黄金期だった。1962年に石井好子が始めた「パリ祭」は現在では少々色褪せたことが残念だが、それが1977年に大庭音楽事務所に引き継がれた。 そのなかで新しい試みに挑戦したのが五人の男性シャンソン歌手により結成されたサンクオムの誕生だった。1989年、日本のシャンソン界に新しい1ページが加えられた。 美声の持ち主でハンサムで勉強家の仲良しグループであった。一人一人が独立して、良い仕事をしているのが5人集まるとこれまた素晴らしいハーモニーとなって響くのである。 その五人とは故・村上進、やしますえよしお、伊達はじめ、広瀬敏郎、青木裕史という5人の男、即ちサンク・オム(Cinq Hommes)の登場である。コーラスグループに在籍して力をつけてからソロ歌手となる例はあるが、既に独立した歌手として10年以上のキャリアを持ち、それぞれに活躍しているアーティストたちが一つのグループを結成するのは既成の概念からするとスケジュールの調整だけをとってみても考えにくい事だった。 それがあっという間に実現したのである。 アイディアの勝利であると共に、最初から五人のフィーリングがマッチする幸運な巡り合わせの結果であるから、無理なく歩調を揃えられる強みがあった。 サンクオムの初コンサートは五反田ゆうぽうと簡易保険ホールで開催され、続いて全国五箇所で公演した。 7月には恒例のシャンソンの祭典である「パリ祭」に参加してゲストのリーヌ・ルノー(Line Renaud)と共にフランス国歌の”ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)”を歌って注目を浴びた。日仏親善の「リーヌ・ルノー&サンクオム コンサート」もあったのだろうか。 その後パリ祭には必ずサンクオムが出演して華やかなステージが展開されたのだ。 そして、現在をみてみると、何と寂しい事であろうか。時が経過するという事は全てのものを奪い去るものなのか。かってのシャンソンの時代はもう終ったと人は言うが、私はそうは思わない。 時代は移り変わっていっても人の心に中に良き時代の夢と素晴らしい曲のメロディとリズムは残っているのだから。大衆のシャンソンから深く根付いている数少ないものとなっているだけなのだから。 大衆性のものから、それこそ孤独なものに変わってきただけの事だから。
by g_vocal
| 2009-04-29 16:19
| シャンソン
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